リスクヘッジとデリバティブ

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マーケットリスク管理コンサルタント 倉井健一

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為替リスク、マーケットリスクにフォーカスしにフォーカスし、輸出入業者が抱える問題を、評価・分析・レポーティング・コンサルを通して具体的なアドバイスで解決に導きます

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ユーロのマイナス金利政策

2015年12月21日

昨年(2014年)の6月にマイナス金利を導入したECB(欧州中央銀行)ですが、この12月にさらに引き下げて -0.3%にすることを決めました。メディアの中にはマイナス金利を0.2%から0.3%に引き上げたなどと報じたところもあり、過去にあまり前例がない事態なので報道する側にも若干の混乱があるようです。(金利が-0.2%から-0.3%になったので金利の引き下げです)

ヨーロッパの金融機関がECBにユーロを預け入れた際、通常利息をもらうところを金利がマイナスなので利息を払うことになるのです。逆に言うとお金を借りた側が利息をもらうことになる、あべこべの世界になぞらえて不思議の国のアリスのようだと称しているメディアもあるようです。

ただ、0.1%から0.0%に引き下げるケースと0.0%から-0.1%に引き下げるケースとの間で何か決定的なギャップが存在するのかと問われればそれは無いと思います。プラス金利からマイナス金利への変化は経済学的にはきわめて連続的に解釈が可能なのです。

資本主義のルールの解釈が変わった、こう考えれば良いのではないでしょうか。つまり資本主義とはお金をいかに増やすかというゲームだったわけですが、そのルールがお金をいかに減らさないかというように変わったのです。ゲームのルールは同じです。最後にお金を一番持っている人が勝ちです。ただ、経済環境が厳しくお金を増やすことが出来ないので、なるべくお金を減らさない。そのためにはどうすれば良いのかということになってきます。

企業への貸し出し金利は長期金利に連動します。長期金利は潜在成長率とインフレ率で決まります。潜在成長率が低下しデフレになれば銀行は貸し出しで資産を増やすことができなくなります。ECBへ預ければ-0.3%、企業へ貸し出せば-0.2%、だったら企業へ貸し出そうかという効果をマイナス金利政策で狙っているのです。

日本にもマイナス金利は存在します。短期の国債の取引金利が-0.1~0.0%で取引されています。これは政策的に行っているというよりも国債が品薄で買い手が多いため、需給の関係で価格がつり上がっているという事情のようです。

「為替デリバティブから会社を守る15の鉄則」 その14 従業員マインドと企業カルチャー

2015年11月29日

大切な資本を守るリスク管理部門を、社内で萎縮させてはなりません。

成功する会社にはリスク管理カルチャーが根付いています

ここまで述べてきたように社内の組織やルールを整えるということは重要ですが、それだけで為替リスクの管理がスムーズに行われるわけではありません。

金融機関の過去の不祥事を振り返ってみても立派な人材や組織を持った銀行や証券会社でリスク管理に失敗しデリバティブで巨額の損失が発生したケースは多数あるのです。

リスク管理がうまくいっている会社というのがどのような会社なのかということを考えたとき、リスクに関係する各社員がリスク管理のマインドを持ち、社内にはリスク管理カルチャーが根付いている会社ということが言えるのではないかと思います。

重要なのは経営者の意識

そのときやはり重要なのは経営者の意識です。経営者が重要だと思うことを社員は敏感に察知しますし、企業カルチャーに与える影響も大変大きいものがあります。

その意味で経営者がまず為替リスクなどのマーケットリスクと為替予約や通貨オプションなどのデリバティブに関するリスクをちゃんと認識して理解するということが出発点です。

担当者のモチベーションを上げることに意識を持とう

往々にして逆のことをしてしまう経営者も見かけられます。リスク管理部門やその担当者というのは表向き利益を稼がないので社内ではコストセンターとしての位置づけになってしまいます。

やはり会社というのはお金を稼いでくる営業部門の声が大きくなりがちでコストセンターとされる部門はどちらかというと萎縮しがちです。そんな状況で社長からも冷たくあしらわれるとなると業務の遂行にも影響が及ぶかもしれません。

社長にはコストセンターとされているリスク管理部門の担当者をたえず「わが社にとって大変重要な仕事をしているんだぞ」と励ましていただきたいと思います。それが担当者のモチベーションを上げ、社内のリスク管理カルチャーの醸成にも役立ち、そして大事な会社の自己資本を為替リスクから守ることにつながるのです。

 

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IMFと中国人民元

2015年11月23日

中国人民元が国際通貨基金の特別引き出し権(Special Drawing Rights, SDR)の構成通貨に採用されることがほぼ決まりました。正式には11月30日の理事会で正式に決定されることになります。

国際通貨基金、通称IMFは加盟国(現在187か国)からの出資を財源として国際金融の安定を担う役割を与えられています。金融とはお金を融通する仕組みですから、お金の流れが滞らないようにする必要があります。具体的には債務の不履行などが国家間において起こらないように監視するとともに、金融危機に陥った国には外貨を貸し付け、制度改革を促します。最近では1997年に韓国が通貨危機に陥ったためIMFに支援を求めました。韓国はIMFから外貨の融資を受けるとともに、IMFからの指示で様々な構造改革を実施したのは記憶に新しいところです。

SDRの構成は現時点で、米ドル、ユーロ、ポンド、円の4通貨となっており、中国はここに人民元を加えたいと考えています。ただ、SDRの構成諸通貨は自由に兌換可能なハードカレンシーであるという象徴的な意味合いしかなく、そこに人民元を形式的に追加することで生じる現実的なメリットはありません。なぜ中国が人民元の採用にこだわるのかは謎ですが、世界第二位の経済大国としての面子の問題なのかも知れません。

今後の問題は人民元が実際のハードカレンシーとして通用するかどうか、中国の金融自由化は今後どうなるのか、そして基礎となる中国の政治経済がこれからどのような歩みを進めるのかということになります。

WTOに加盟してからの中国の動きを見ていると加盟国としてのメリットは享受するものの加盟国としての義務や責任に対しては真剣に向き合わないという行動パターンが読み取れます。中国人民元がハードカレンシーだと宣言したからにはそのための環境整備を前向きに行っていただく必要がありますし、政策の透明性を高める、なぜそうするのか説明責任を果たすということも求められます。ただGDPの数字ひとつとっても政治的に脚色されている疑惑があって経済の実態については不透明感が拭えないわけです。裏帳簿でも付けていて中国自身では本当の経済実態を把握できていればまだ良いのですが、そんな器用なことをしているとも思えないので自国の経済状況がよくわからない状態で適切な政策を実施できるのかという疑問もわきます。患者の本当の体温や血圧がわからない状況ではどんな名医でも適切な治療を行えません。

さらに言うと、ハードカレンシーかどうかは権威を持つ機関が決めるというものではなくて、その通貨が自由兌換可能な客観的な状況が先にあり、そしてあるタイミングでSDRに採用される(採用されたからどうだということも無いのですが)というのが自然な流れですが、中国の場合はSDRに採用してもらうために制度変更を実施していますし、その様子は資格試験をクリアする学生のようである意味順序が逆転しているわけです。

例えば資本移動を自由化してよいかどうかはその国の経済の成熟状況に依存します。客観的な状況をよく検討せずにいきなり資本移動を自由化すれば自国の経済に悪影響を与える可能性があります。わが国の場合は戦後しばらくの間外貨の持ち出しも制限されていましたが、徐々に自由化が進み90年台後半に金融ビッグバンという形で節目を迎えました。

自由市場経済は情報が公開され、自由にやり取りすることができ、個人が自身の責任と判断でマーケットに参加することで適切な価格が決定されるという意味において民主主義の一形態です。中国はマーケットを都合の良いように利用しようとしていますがその本質を受け入れようとしているとは考えられません。しかし、中国が国際金融に積極的に参加することを決めたということは中国経済がもたらす混乱が我々の経済にも直接的に波及する恐れがあるということでもあります。そのことに十分注意した上で今後の中国の動きに目を配っていきたいと思います。

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個別ヘッジとクロスヘッジ

2015年11月8日

個別ヘッジ手法とは外貨資産または負債のヘッジを同じ通貨のデリバティブ取引で行うことで、例えばドル債権のヘッジをドル円の為替予約で行うことです。

もっとも簡単で一般的な方法です。

それに対してクロスヘッジ手法とは香港ドルの債権のヘッジを米ドルを使って行うなど、原資産の通貨とは別の通貨のデリバティブ取引を使って為替ヘッジを行う手法です。

原資産の通貨のデリバティブが取引されていない場合や流動性が低い場合などに原資産通貨と連動性の高い通貨を使って行われます。

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「為替デリバティブから会社を守る15の鉄則」 その13 PDCAサイクル

2015年10月29日

為替リスク管理においてもPDCAサイクルを意識して、利益を確保しましょう。

ラージサイクルとスモールサイクルの意識が大切です。

ご承知のようにPDCAサイクルはPlan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)を順番に実施していく業務管理手法で、Act(改善)まできたらまたPlan(計画)に戻るサイクルとして循環する環を描きます。

この有名な業務管理手法は為替リスク管理においてもそのまま適用することができます。Planはヘッジ計画の策定、Doはヘッジ取引の実行、Checkは損益、リスク評価、Actは問題点の修正というわけです。

企業における為替リスク管理の場合、リスク管理委員会を起点として一か月から四半期の周期で回すラージサイクルと財務部など担当部門の内部で一週間から一か月の周期で回すスモールサイクルを意識して下さい。

ラージサイクルは目標相場水準の修正やリスク限度額の見直しなど主としてリスク管理に関わる企業方針を取り扱います。スモールサイクルはリスク管理に関わる企業方針を取り扱います。スモールサイクルはリスク管理の企業方針を逸脱していないか、日々のオペレーションに問題はないかなど実務の管理がメインとなります。

防戦メインの戦い・・・ マンネリに陥るな

為替リスク管理は営業活動にともなって継続的に発生する外貨ポジションとランダムに変動する為替レートを相手にして行うエンドレスマッチです。しかも相手を打ち負かすことは不可能です。打ち負かされないようにどうやって企業収益を守りきるかという防戦メインの忍耐を要する戦いです。

PDCAサイクルを意識することでマンネリに陥りがちなルーチンワークにメリハリを与えることができます。サイクルを上手に回して利益を着実に確保しましょう。

 

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ハロウィーン緩和はあるか - 日銀金融政策決定会合

2015年10月25日

10月30日に開かれる日銀の金融政策決定会合が注目を浴びています。昨年はサプライズ緩和が発表され為替と株価に大きな影響を与えました。昨年10月31日に市場の予想に反して発表された日銀の追加緩和によって、日経平均は約1000円上昇、ドル円レートは約5円ドル高円安に振れました。そして、その影響は24時間かけて地球を一周して各国の市場を大きく動かしたのです。

今年の春ぐらいから中国をはじめとした新興国の景気減速がはっきりしてきたため金融市場は神経質な展開となっています。アメリカのFRBは年内に予定していた政策金利の引き上げを見送り、EUのECBは先週末、年内に追加緩和する可能性に言及しました。昨日は中国も6度目の利下げと預金準備率の引き下げに踏み切りました。一方、日本経済に目を向けてみると異次元金融緩和で華々しくスタートしてみたものの、既に2年を過ぎてデフレ克服の道はまだ遠く、経済成長率もはかばかしくないという状況です。この流れの中で日銀はどう動くのでしょうか。

追加緩和を行うとしても技術的な問題はあります。市中の国債の大半は日銀によって既に買い上げられてしまっている現在、これまでのやり方の延長線での追加緩和は難しいでしょう。

追加緩和があると考えるアナリストと恐らく無いと予想するアナリストに分かれていますが、追加緩和がある場合には市場にそれなりのインパクトは当然あるでしょう。しかし、もし日銀が追加の施策を見送った場合でもマーケットの期待に与える影響があるかも知れません。いずれにせよ、10/30(金)は日銀と為替市場の動きには注意が必要です。

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中国経済 - 前門のトラ、後門のオオカミ

2015年10月13日

今夏に起きた中国株価の暴落は世界経済を揺るがしました。6月頃、中国の株式の時価総額は1230兆円と言われていましたから(ちなみに日本はピークで600兆円ぐらい)、一割下がると約100兆円が消失してしまいます。ギリシャのGDPが25兆円ぐらいなので、一日でギリシャ経済4個分が消えていっている計算になります。

その後、人民元の切り下げを実施しますがその後に取った行動が市場を驚かせました。人民元の一段安を防ぐために大規模な買い支えを行ったのです。理由は人民元の切り下げをきっかけに資本逃避が起きたからと言われています。中国に投資している投資家の中には中国経済の隆盛とともに人民元も徐々に高くなるという見通しを持っていた人も大勢いたはずです。それなのにいきなりレートを切り下げられると自分たちの資産が目減りすることになります。つまり、人民元が他の通貨(主に米ドル)に対して徐々に価値を高めていくというモメンタムに投資をしていた投資家が相当数いて、その人たちが突然の人民元切り下げに敏感に反応し、あわてて人民元資産の処分に走ったというわけです。

市場経済の国の中央銀行では市場との対話を重視します。アメリカのFRBが昨年から言語的な修辞を凝らして金利を上げるタイミングを探っているのが良い例です。「景気は回復してきた」、「金利を上げる余地があるかも知れない」、「年内には金利を上げることがのぞましい」などと徐々に市場に覚悟をせまっていくわけです。そうしないでいきなり金利を上げると市場が驚いて株価が暴落したり、新興国から資金流出が起きたりと世界経済に様々な悪影響が及ぶ可能性があります。中国の場合、そのような事前の対話は一切ない状態でいきなりレートを切り下げたため市場が驚いて政府が思いもしなかったような反応を招いたというわけです。

中国政府によるドル売り介入の規模は外貨準備の減少からある程度推測することができます。8月の単月でみると939億ドル、約10兆円のドル売り介入を行ったと考えられます。中国の外貨準備高は2014年6月の約4兆ドルをピークに減り続けており2015年9月末で約3.5兆ドルです。こうみるとまだまだドル売りの介入原資があるように見えますが、ここで問題となってくるのが中国の外貨準備高の中身です。

我が国は外貨準備高<対外純資産残高ですが、中国は外貨準備高>対外純資産残高なのです。その中国の対外純資産も2兆ドルをピークに減り続けていて、2015年3月末時点で1.4兆ドル。9月末時点はまだわかりませんがおそらく1兆ドル前後、8月のペースで介入し続けると1年は持たない程度の金額です。インドネシアの新幹線などのような積極的な対外投資も続けているため実際のところはかなり厳しい外貨資金繰りになってきそうです。インドネシアに人民元決済を押し付けたとしても人民元を受け取ったインドネシアは直ぐに売ってドルに換えたいでしょう。売られた人民元は回りまわって結局中国が買い取ることになるとするとこれも外貨準備の減少につながる話です。

年末から来年にかけて中国の外貨資金繰りには要注意ということが言えそうです。

為替リスク管理の教科書

2015年8月10日

為替リスク管理について詳細に解説したテキストが出ました。

「為替リスク管理の教科書」 ~基本方針の設定から具体的な実践方法まで~ 「金森 亨著」

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  • 第0章 為替リスク管理の必要性
  • 第1章 為替リスク管理の基本方針
  • 第2章 ボラティリティ観察と為替相場の予想方法
  • 第3章 エクスポージャーの調整と操作の方法
  • 第4章 為替リスク管理体制の構築
  • 第5章 期間別為替リスク管理の実務と事例

 

この本を読んでユニークだなと感じ、かつ感心したのが為替相場の予想という課題について正面から取り組んでいることです。金融のリスク管理という分野では相場の先行きについては基本的に分からないという考えに基づいて作業します。企業の為替リスク管理を考えた場合それだけでは足りない、経営者の相場が将来どうなるのかという思いに寄り添う必要を感じていました。この本では章を割いて為替相場の予想という問題に正面から取り組んでいます。内容は本を読んでいただきたいのですが、なんだそんなことかとガッカリするか、視野が広がって業務の改善点を見出すかは人それぞれかも知れません。私はあなたが後者であることを願ってます。

相場の予想などという話から入ってしまいましたが、この本は決して為替相場を予想してリスク管理を行うなどという邪道を説いた本ではありません。「為替リスクは企業が専念すべき本来事業の行方を不安にするものとして捉える」のが本書の一貫したスタンスです。

また、短期(一年以内)、中期(半年~5年)、長期(3年超)として、期間に応じてリスクを捉えて管理するという考え方も適切です。企業の為替リスク管理という分野では参考になる良書が少ない中、待望のテキストと言えるのではないでしょうか。お勧めします。

ギリシャ危機 ユーロの終わりの始まり

2015年7月5日

「ギリシャは1800年から第二次大戦後までずっとデフォルト状態だったと言ってよく、オーストリアはある意味でもっとひどかった。19世紀以前の国際資本市場はさほど発達していなかったにもかかわらず、フランス、ポルトガル、プロシャ、スペイン、そしてイタリアの都市国家は頻々とデフォルトを起こしている。ヨーロッパの周縁部に位置するエジプト、ロシア、トルコも、やはり慢性的なデフォルト歴を持つ。」

国家は破綻する 金融危機の800年 カーメン・M・ラインハート&ケネス・S・ロゴフ 2011年

「彼らは近代化の障害になっている昔からの特権や習慣を手放すつもりはなかった。ほとんどの親の夢は、子どもを政府の職につけることだった。政府の職にありつけば、失業の心配もないし、社会的にも威張れるからだ。この国は、ルネッサンスも、産業革命も、第二次世界大戦後に西ヨーロッパが経験した目覚ましい経済成長も、それに物質主義の行き過ぎへの反動として1968年に起きた 学生暴動も、ついに経験しないできた。その結果、ある種の幼稚さが残り、国民は、古い東洋的な冷笑癖に加えて、この国より後れた第三世界の国でこそ人気を博すようなスローガンに動かされてきた。政治を動かすものは感情だった。論理ははるか後ろに置き去りにされた。それを自分で批判しながらも、ギリシャ人はそういう在り方を好んでいるのだ。」

ヨーロッパ 民族のモザイク フローラ・ルイス 1987年

ギリシャ危機はメディアによって過剰に煽られ、この先世界経済がどうなるのか心配されている方も多いと思います。結論から言うとギリシャがユーロに残ろうと離脱しようと大きな影響はありません。国家がデフォルトに陥る事態はこれまでも多数ありましたが、それによって世界経済が破滅の危機に瀕するなどということは起こっていないのです。

ユーロ体制が発足するより以前、ギリシャの発行する債券は利回りが10%を超えていました。つまりそれだけの利息を負担しなければギリシャの債券を買う投資家はいなかったわけです。それがユーロ体制でドイツと同じような金利でお金を借りられるようになってしまったということが今回の危機の要因の一つになりました。金融の世界で良く言及される格言に「フリーランチはない」というものがあります。つまりただ飯はない、無料のように見えることがあっても誰かがどこかでコストを払っている。または将来払うことになるというものです。

通貨ユーロに関してはマーケットで売買されている以上、思惑で売られたりすることで一時的な値下がりはあるでしょう。しかし、底が抜けたように価値を失うということは考えにくいです。なぜなら、通貨ユーロを支えているのは富裕な国家が中心となった巨大な官僚機構であり、それなりに合理的な運営がなされているからです。しかしながらユーロ体制の根本的な矛盾が明らかになりつつある現在、ギリシャ危機はユーロ体制の終わりの始まりとして記憶されることになりそうです。

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巨額損失問題が発生する理由

2015年5月24日

少し前に投稿した記事で学校法人の巨額損失問題を取り上げました。

このような不祥事について実際に何が起きたのか詳細に明らかにされることは少ないのですが、一校だけかなり詳細に巨額損失が発覚するまでの経緯が調査報告書としてまとめられています。

報告書によると学校側の主な登場人物は3名いますが、デリバティブ契約で中心的な役割を果たすのは財務担当の理事です。その方は自らオペレーティング・リサーチの専門家であると自負なさっていたそうです。オペレーティング・リサーチというのは制約条件と言われる不等式を満たしながら目的関数の値を最大化するにはどうすれば良いかという問題を解決するための数学的な手法で、その専門家であるということは、その財務担当理事は数学的な素養をそれなりに持っているという事を示唆しています。

私がわからないのはその理事が「私はオペレーティング・リサーチの専門家でもあるのでデリバティブについては理解しているつもりだった」と述べた件で、オペレーティング・リサーチとデリバティブにどのような関係があると考えたのかは説明されていません。おそらくですが、その理事がオペレーティング・リサーチの手法を駆使してデリバティブの秘密を解き明かそうとしたという事実はないでしょう。

では、その理事は何を語りたかったのでしょうか。今となっては本人にも良くわからないでしょう。私はオペレーティング・リサーチの専門家だからデリバティブのことぐらいわからないはずはないという根拠のない思い込みと少し驕った気持ちがあったのかも知れません。また、こんなことも語っています。「為替はゼロになることは無いのでリスクは少ないと思った。」

話は変わりますが、会社の経営を理解するために必須のものはなんでしょうか?

損益計算書と貸借対照表ですよね。細かく帳簿をつけてその明細から損益計算書と貸借対照表を作り上げることではじめて会社の経営状況というものを把握できるわけです。そのための手順や方法論が確立していて、皆がそれを知識として知っているからこそ共通の理解に基づいて様々な会社の経営状況を把握することができます。私はそろばんが得意だったので経営がわかるなどという人はいませんし、もしいればおかしなことを言っているとすぐに気が付きます。

でも、デリバティブの問題になるとオペレーティング・リサーチを知っているのでデリバティブのこともわかりますなどという見当違いな発言が大手を振ってまかり通ってしまう。巨額の損益が関係する問題にも関わらずです。

つまり学校法人の巨額損失問題の本質は金融に関する知識や教養の欠如が根底にあることがわかります。その結果、何が問題なのかがわからない。何をどうしたら良いのかがわからないという状況がデリバティブを取り扱う学校法人の財務部門には存在すると思われます。

 

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