「為替デリバティブから会社を守る15の鉄則」 その14 従業員マインドと企業カルチャー
2015年11月29日
2015年11月29日
大切な資本を守るリスク管理部門を、社内で萎縮させてはなりません。
成功する会社にはリスク管理カルチャーが根付いています
ここまで述べてきたように社内の組織やルールを整えるということは重要ですが、それだけで為替リスクの管理がスムーズに行われるわけではありません。
金融機関の過去の不祥事を振り返ってみても立派な人材や組織を持った銀行や証券会社でリスク管理に失敗しデリバティブで巨額の損失が発生したケースは多数あるのです。
リスク管理がうまくいっている会社というのがどのような会社なのかということを考えたとき、リスクに関係する各社員がリスク管理のマインドを持ち、社内にはリスク管理カルチャーが根付いている会社ということが言えるのではないかと思います。
重要なのは経営者の意識
そのときやはり重要なのは経営者の意識です。経営者が重要だと思うことを社員は敏感に察知しますし、企業カルチャーに与える影響も大変大きいものがあります。
その意味で経営者がまず為替リスクなどのマーケットリスクと為替予約や通貨オプションなどのデリバティブに関するリスクをちゃんと認識して理解するということが出発点です。
担当者のモチベーションを上げることに意識を持とう
往々にして逆のことをしてしまう経営者も見かけられます。リスク管理部門やその担当者というのは表向き利益を稼がないので社内ではコストセンターとしての位置づけになってしまいます。
やはり会社というのはお金を稼いでくる営業部門の声が大きくなりがちでコストセンターとされる部門はどちらかというと萎縮しがちです。そんな状況で社長からも冷たくあしらわれるとなると業務の遂行にも影響が及ぶかもしれません。
社長にはコストセンターとされているリスク管理部門の担当者をたえず「わが社にとって大変重要な仕事をしているんだぞ」と励ましていただきたいと思います。それが担当者のモチベーションを上げ、社内のリスク管理カルチャーの醸成にも役立ち、そして大事な会社の自己資本を為替リスクから守ることにつながるのです。