アベノミクス再考
2015年3月8日
2015年3月8日
雨が降っても風が吹いても安倍が悪いと言わんばかりの一部メディアによる安倍政権批判には食傷気味の私ですが、政権批判をすべきではないと考えているわけではありません。現政権に対する批判の王道はやはりその経済政策に関するものでしょう。
金融緩和による株高と円安を演出し、偽薬効果でインフレをも起こそうと企んだアベノミクスは部分的には目的を達成しつつあり、また部分的には失敗しつつあるという道半ばの状況にあります。ここでもう一度、安倍政権の経済政策の本質とは何なのかを振り返っておくのは意味あることだと思います。
池田信夫氏のコラム、「日銀が無限に国債を買えば無税国家ができるのか」はそんな本質を突いたものと言えます。あらたに日銀政策委員に選ばれた原田氏の発言として次のものを紹介しています。
「日銀は国債をコストをかけずにただで買っている。10兆円分の国債を購入して、仮に2割損してももうけは8兆円ある。日銀の利益は国庫に渡ってきた。国債の価格が下がっても、財務省が埋めればそれでいいだけだ。」
また、首相はこうも語ったそうです。
「輪転機をぐるぐる回せば、20円の紙で1万円のお札を発行できるのだから、9980円の通貨発行益がある」
さてそんな都合の良い話があるのかどうか、ここで池田氏は究極の問いを突きつけます。
「彼の論理によれば、政府の負債は日銀の資産と相殺されるので、税金を廃止してすべて国債で調達すれば、無税国家ができることになる」
これに対して答えを示そうとは思いませんし、正しい回答があるとも思いません。これを読んだ人、一人ひとりが考えていただきたいのです。
日銀券に対する信用、ひいては日本という国家に対する信用は長い時間をかけて先人たちが築き上げてきたものです。少なくとも安倍首相を含む経済政策ブレーンはこの信用を毀損する方向で動いていると言えると思います。果たして日本国の信用がどの程度まで毀損できるのかはだれにもわかりません。
ただ一つだけ間違いなく言えることは信用を築くのには長い時間を要するが、失われるときは一瞬だということです。