「為替デリバティブから会社を守る15の鉄則」 その12 ツールを活用する
2015年3月24日
2015年3月24日
レポートに必要なリスク指標の算出に、外部ツールの活用が効果的です。
すべてを自前で計算することは面倒でリスクもあります
損益やリスクを見える化する、すなわち数値化して関係者の目に触れるようにすることの重要性にお話してきました。
そのためには為替取引や為替デリバティブについて価値を計算したり、様々なリスクを算出しなければならないわけですが、これはそう簡単なことではありません。
例えば通貨オプションの価値を決めるブラックショールズ式をはじめとして、デルタやガンマ、VaRといったリスク指標はそれらが意味することをきちんと理解することの難しさもありますが、実際に計算することはなかなか面倒で一筋縄ではいきません。
リスク管理の実務についてもリスク指標を計算してレポートするという作業と切り離すことはできませんが、さあ必要なリスク指標を計算して下さいと言われても途方に暮れてしまう方も多いでしょう。
そんな場合にお勧めしたいのが外部ツールの活用です。為替の残高やデリバティブ取引を入力してしまえばそれらの情報をデータベースに保存して損益計算をしたり各種リスク指標を算出してくれるツールです。
高機能なものを使うよりも理解することが大事です。
その場合、銀行などで使っているような本格的なものは必要ありません。最初はエクセルなどを使った簡易的なものでかまいません。必要最小限の機能を備えたものから始めて少しずつ拡張していくと良いでしょう。
そうやってノウハウをいろいろと蓄えた後に必要であれば本格的なツールに移行していくという手段もあります。
銀行の高度なリスク管理システムも最初はノウハウを持つ社員が個人的に開発したツールであったという例は多いのです。
ただし高機能なツールを使って計算することで満足するということがあってはいけません。
あくまで目的は為替リスクの効率的な管理ですから、ツールを使うことはあっても使われることが無いように注意して下さい。